経営コンサルタントとして(三枝久芳)

■ 成果を出すのは簡単ではない

多くのコンサルタントが生産性や効率について語りますが、実際に成果を上げられる人はそれほど多くありません。

私も経営コンサルタントになった当初は大変苦労しました。

サラリーマン時代には学会賞や社長賞を受賞し、同期で最も早く管理職に昇進し、技術士にも一発合格したため、それなりの実力があると“勘違い”していました。

しかし、独立してから自らの実力不足を痛感し、最初の10年間は1日も休まず働くことで、お客様に満足いただけるよう努めました。

 

■ 成果を出せるコンサルタントとそうでないコンサルタントの違い

私自身、成果を出すために苦労しましたが、そのポイントはどこにあるのでしょうか?

 

多くのコンサルタントを知る研修企画者は、「生産性や効率だけを語るコンサルタントは実力が低く、成果を上げられないことが多い」と指摘します。

また、技術者出身の経営コンサルタントは「技術者出身のコンサルタントは、他の人よりスタートラインが3年遅れている」と言います。

私はこれまでに多くの経営コンサルタント志望者を指導してきました。

その経験から、企業のトップクラスに昇進する人と部長クラスで止まる人には明確な違いがあると感じています。

トップクラスに抜擢されるのは、実際に成果を上げられる人です。

この違いこそが、成果をあげるためのポイントだと考えています。

 

独立当初、私は成果を上げるために悩みました。

そんな私を心配し、KKTの先輩方が多くのアドバイスをくださいました。

その内容はテクニック的なものではなく、心構えや経営者との対応に関するものでした。このアドバイスは、苦しい時期に大いに役立ちました。

 

■ 技術者出身コンサルタントの失敗

コンサルタントの紹介を行っている公的機関に勤める友人から聞いた話です。

ある中小企業から技術的な相談があった際、業界に詳しい技術士を紹介しました。

しかし、数カ月後、経営者から「先生の提案がコスト高で実情に合わないため、コンサルティングを断りたい」と連絡がありました。

経営者が問題点を指摘したにもかかわらず、技術士は言い訳ばかり言ったそうです。

友人は「技術士の先生には、このようなことが発生することがある」と言っていました。

 

この事例は、コンサルティングにおいて重要な教訓を与えてくれます。

 

■ コンサルティングで最も大切なのは使命感

これまで述べてきたように、成果を出すためのポイントはいくつかあります。 

技術コンサルタントよりも、経営コンサルタントのほうが注意すべきポイントが多いように感じています。

多くのポイントを挙げると伝わりにくくなるため、あえて重要なポイントを挙げます。

 

私は経営コンサルタントを目指す人に「コンサルタントにとって最も重要なのは使命感である」と伝えています。

 

真の使命感を持ち続けることは容易ではありませんが、使命感があれば良い成果につながります。

大切なのは、心からお客さまに役立ちたいと願うことです。

 

■ 人の気持ちを分かろうとすることも大切

独立当初に先輩方から受けた恩は忘れられません。苦しい時期のアドバイスがどれほどありがたかったかを、今でも覚えています。

 

このことからも学ぶことはあります。

そのため、かつての私のように苦労している若者がいるならば、力になりたいと考えています。

それは、私自身が独立当初に受けた恩を、次の世代に返したいという思いからです。

 

これが、私が経営コンサルタントとして大切にしている考え方です。