技術士試験について(庄司尚史)

■試験の概要

技術士になるには技術士試験に合格する必要があります。一次試験に合格してから二次試験を受験するのが一般的ですが、文部科学大臣が指定した教育課程の修了者は一次試験が免除されます。

一次試験(択一式)は例年11月下旬に行われ、二次試験は7月中旬に筆記試験(総合技術監理部門とそれ以外の技術部門とで1日ずつ)、その合格者に対して12月から1月にかけて口頭試験が行われます。

 

■試験当日の運営

私はここ8年ほど筆記試験会場での本部員として運営業務に携わっています。その概要を少しだけ紹介します。

試験開始時間は通常10時ですが、担当者は7:30には出勤し、だいたい17:30まで業務に携わります。

朝一番に試験センターから会場の試験本部に試験問題、掲示物、文房具などの荷物が送られてきて、それを受け取るところから運営業務が本格稼働します。

試験本部外では、看板や案内板の設置、ゴミ箱封鎖、受験生の受付業務(試験室案内や誘導)など、試験本部内では、試験監督員などへの説明、試験問題や解答用紙などの配布準備が主な仕事です。

試験が始まると、忙しさは一段落しますが、ときどき各試験室から回答用紙などが回収されるので、それらの確認作業があります。

16時半くらいに試験が終了し、受験生が退出した後に、会場内の後片付けと点検、回収物の確認、荷物の発送を行い、解散となります。

 

■担当者としての心構え

大まかな流れは以上のとおりですが、国家資格の試験であり、ミスがあれば責任を問われることにもなるので、詳細なマニュアルに沿って慎重に運営が行わています。

とはいうものの、実際には様々なことが起こります。時には試験センターと連絡を取り合って対応することになります。

最近では、新型コロナ感染症の流行で中止や延期、時間や運営方法の変更などがあったほか、悪天候で中止になったこともありました。やむを得ないことなのですが、準備してきた受験生には気の毒なことでした。

裏方の一員として、間違いを起こさないのはもちろんのこと、受験生が実力を十分に発揮できる環境を作り出すつもりで業務に当たっています。

 

■試験制度の今後

技術士試験は細かい変更はあるものの、基本的には長く同じ形式を続けています。しかし今のやり方をいつまでも続けることについては検討の余地があると思っています。

現在、一次試験と二次試験の一部を除き、筆記試験では長文を書く必要があります。

一方で、業務において手書きで長文を書く場面はなかなか想像できません。そのため、業務とは関係のない別の能力で合否が左右される面があることになります。

司法試験ではCBT(Computer Based Testing)が検討されていると聞いています。その理由も、手書きの論文試験では受験生の負担が大きいことに加え、業務の実態と合ってないということのようです。

実現までには難しい課題があるものの、そう遠くない将来に技術士試験も変えていく必要があると思います。その際には、現在のような試験運営業務も全く別の形になることでしょう。

 

※)2023年の一次試験は11月26日(日)に12都道府県24会場で予定されます。受験される皆様のご健闘をお祈りします。